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食の安全と環境−「気分のエコ」にはだまされない (シリーズ 地球と人間の環境を考える11)
説明
この商品は、食の安全と環境について考えるための本です。シリーズ「地球と人間の環境を考える11」に属しています。
※必須
消費者も考えなければなりません。まっとうな本です。
僕の同窓生がSNSで紹介していたので、読んでみました。

著者の松永和紀さんは科学ライターで、農業についての著述も手掛けています。

この本は単純に『気分のエコ』で農業を語るのではなく、育成に使われる石油やCO2排出量からも評価されるべきだと書かれています。

そもそも農薬や化学肥料がどうしてできるようになったのか、その必要性も含めても書かれています。

マスメディアで取り上げられた事柄に対し、エビデンスを示して批判しています。このエビデンスを示す点が特に重要です。

最終章では消費者に求められることが3つ挙げられています。
(1) 安全と安心を区別して判断する。
(2) 食べ残しなどの廃棄量を減らし、食生活を見直す。
(3) 科学的根拠の短絡的な批判をやめ、多様な生産方式を認める。

「安全」と「安心」は異なるものです。科学的根拠に基づく「安全」と、感情による「安心」です。「安心」のために多くの食品が廃棄されてしまっている現状は消費者にとっても厳しい話です。

この本を読むと、私は消費者として啓発される点が多かったです。誤解を解いてくれる信頼できる本だと感じます。

消費者として自分たちの欲求を無理に通すのではなく、科学技術や農業をさまざまな視点から見るべきだと考えられます。

その中では様々な農業方式が存在することが望ましいです。遺伝子組換えもその一つです。ただ単に拒否するのではなく、自身で調査する意欲も必要です。

SNSを見ていると、短絡的な発言をする人もいますが、このような本はある意味で啓蒙書だと思います。

私は全てに賛成というわけではありませんが、読んで良かったと感じました。

松永さんは科学ライターとして素晴らしい仕事をされていると思いました。発行は2011年なので内容的には少し古いかもしれませんが。
4.0
1年前
林 桃子
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まっとうな良書
メディアや政治家によって、「安全・安心」という標語が使われることは、内容のないものです。農薬、化学肥料、エコなど、多くの言葉が科学的でないムードだけで語られています。これらは単にムードを盛り上げるためだけではなく、しばしば本来の目的を見失わせたり、時には進展を阻害することさえあります。

このようなまっとうな議論が世の中で非常に少ないのは、何故なのか考えざるを得ません。食品、環境、安全面に限らず、さまざまな分野でそうした理性的な意見が不足しているのです。

しかし、今回の著者の文章はその例外です。彼の考察は、私たちに幅広い分野について考えさせてくれる、正当で優れた書籍です。
4.0
1年前
anonymous
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かつては水と空気、そして安全はタダであったが、現在は過剰にお金を費やしている状況です。
食は人間が生きていく上で基本的な要素であり、生命に直結する最も身近なリスクです。「食の安全」は今や大きな注目を浴びています。この声高な議論の中で、「安全と安心」がセットで話されることが多くなりました。報道機関の伝え方によっては、食品メーカーが誤解されたり、致命的なダメージを受ける恐れもあります。一方で、消費者は感情的な面から「安心」を過剰に求める傾向があります。

その結果、大量の食品廃棄物が出るだけでなく、農業の生産性も低下しています。また自然界の植物には動物から自身を守るために毒を含んでいるものが存在します。これらの毒の量がどれだけ安全かを定量的かつ科学的に規定することが「食の安全」と言われるものです。したがって、感情的な根拠のない報道には冷静に対応する必要があると筆者は警鐘を鳴らしています。
4.0
1年前
石川
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